有意義な弁護士無料相談のため交通事故被害者が把握・準備すべきもの
1 弁護士へ相談に行く前に
弁護士は法律の専門家です。
ただし、その交通事故の情報が少なすぎては、的確なアドバイスをし難くなります。
「客観的な事実(=証拠)」が多ければ多いほど、弁護士は法律的な判断をしやすいです。そのために、相談する側として準備しておくべきことは大きく分けて下記の2点があります。
・書類など資料の準備
・事前に質問事項を考えてメモしておく
それぞれについて細かくみていきましょう。
2 準備すべき資料①:交通事故に関する資料
⑴ 交通事故証明書
交通事故が起こったことを証明する書類です。
事故が起こった場所や日時、当事者の情報(氏名や住所、加入している保険など)が記載されています。
各都道府県にある「自動車安全運転センター」が手数料540円で発行しています。
申請方法は下記の3種類です。
・自動車安全運転センターの窓口(直接交付)
・ゆうちょ銀行での申込(警察署で振込用紙兼申込書を入手し、ゆうちょ銀行の窓口で振り込み→後日郵送)
・自動車安全運転センターのウェブサイト申込(情報入力→送金手続→後日郵送)
ゆうちょ銀行やウェブサイトで申し込む場合、振込手数料等が別途必要になります。
また、ゆうちょ銀行経由の申込用紙は都道府県ごとに異なりますので、注意してください。
なお、「交通事故証明書」がもらえないケースもあります。
・事故が起きた際に警察に届けていない場合
・物損事故で、事故から3年以上経過している場合
・人身事故で、事故から5年以上経過している場合
・私有地での事故の場合(事故の状況によってもらえることもある)
などです。
⑵ 事故発生状況報告書
交通事故の状況を保険会社に報告する書類です。
・事故のあった場所の住所
・走行速度
・道幅
・現場の見とおし
などについて事故の当事者が図や文章などで記載し、保険会社へ提出するものです。
可能であれば提出前に写しを取っておきましょう。
⑶ 実況見分調書
事故後、警察が事故の状況について当事者や関係者に事情を聞き、それを文書にしたもののことです。
捜査段階は取得できない書類ですので、相談前に無理に取得する必要はありませんが、もし手元にあれば準備しておきましょう。
⑷ 事故状況が分かる写真等
事故後の車の状況や修理状況などが分かる写真があれば、準備しておくとよいでしょう。
データでも構いませんが、相談の場ですぐに見せられるようプリントしておくと便利かもしれません。
3 準備すべき資料②:怪我の治療に関わる書類
⑴ 診断書
交通事故によって怪我をした場合、軽傷でも必ず医療機関を受診し、診断書を発行してもらうことをおすすめします。
念のためコピーも忘れずに取っておきます。
⑵ 治療費の領収証
治療費の算定に必要になりますから、交通事故に遭った日以降、病院関係の領収証はすべて保管しておくようにすることをおすすめします。
一見事故とは関係ない症状だとしても、「事故由来である」と後から判断される可能性もあります。
「この症状は事故とは関係ない」などと自分で判断せず、「病院の領収証はすべて保管する」と考えましょう。
⑶ 診療報酬明細書(レセプト)
行った処置や使った薬の単価や数量などを細かく記載した書類です。
病院によっては全員には交付せず「欲しい」と言った患者にのみ交付する場合もあります。
お会計の時に領収証しかもらえなかったら「今後は明細書も欲しい」という旨を病院に伝え、領収証と一緒に保管しておきましょう。
⑷ 後遺障害診断書
治療を続け、「症状固定(治療をしても今後良くも悪くもならないと判断された状態」となった後、残存している後遺障害について医師に証明してもらう書類のことで、①診断書とは別の書類です。
相談の時点で後遺障害診断書が手元にある場合は準備することをおすすめします。
⑸ 後遺障害等級認定票
上記「後遺障害診断書」などをもとにして、被害者の後遺障害について認定された場合、その認定内容を通知する書類です。
4 準備すべき資料③:その他の書類
⑴ 領収証類
交通事故に遭ってしまうと、治療費だけでなく、通院にかかる交通費、車の修理代、車が使えなくなったことによる代替手段に関する出費(電車代、レンタカー代)など、何かと金銭的な負担が増えてしまいます。
「この交通事故のせいでこれだけ金銭を負担した。その分を支払って欲しい」と交渉するためにも、交通事故に関連した領収証は、治療費以外のものもすべて保管しておきましょう。
領収証がない場合は、「金額や日付、目的」などを都度メモしておきましょう。
⑵ 休業損害証明書
交通事故の当事者が仕事に就いている場合、交通事故による怪我などが原因で仕事に支障が出て、給与が減ってしまうことがあります。
その分は「休業損害」という形で相手に請求できますが、休業損害証明書は、その請求のために勤務先で書いてもらうべき書類のことです。
通常、保険会社からひな形が送られてきて、それを勤務先に持って行き「書いて欲しい」と依頼することになります。
⑶ 前年の源泉徴収票もしくは所得証明書等
「交通事故によって給与がどれくらい減ったのか」を算出するためには、上記「休業損害証明書」のほか、
・前年分の源泉徴収票(年末に勤務先で交付)
・所得証明書(市役所等で取得)
・確定申告書の控え
など、前年分の所得が分かる書類があると便利です。
⑷ その他保険会社から送られてきた書類
相談の時点である程度保険会社とやりとりをしているのであれば、それまで保険会社とやりとりをした書類などをまとめておきましょう。
それまでの流れが分かり、便利です。
⑸ 被害者側が加入している自動車保険のチェック
相談者自身、もしくは同居の家族は自動車保険に加入していませんか。
加入している場合、その保険に「弁護士費用特約」は付加されていないと思いますか。
もし付加されている場合、弁護士費用は自身(もしくは同居の家族)が加入している保険会社に負担してもらえます。
事前に自身の保険会社へ事前に問い合わせておくとスムーズです。
5 弁護士に聞きたい、頼みたいことをメモしておく
いざ相談しようと様々なことを事前に考えていても、初めて行く弁護士事務所では緊張して内容をど忘れしてしまったりするものです。
殴り書き・箇条書きでかまわないので、弁護士に聞きたいことなどは事前にメモをすることをおすすめします。
そのメモを相談時に持って行くと落ち着いて話ができます。
(例)
「保険会社の担当者と話したくない」
「この示談金は妥当なのか知りたい」
「後遺障害認定の結果が納得のいかないものだった」 など
交通事故の相談は早めに弁護士にした方が良い理由 交通事故で必要となる弁護士費用特約のメリットと使い方